(1,3節) 射の構造と公理
Jul 22, 2025 15 min
射の構造と公理
圏論における「射(morphism)」は、対象間の構造的な“つながり”を担う中心的存在である。射の振る舞いと構成的ルールは、圏の本質を規定する。
射の定義
圏 の任意の対象 に対し、 から への射 が存在する。射の集合は で表される。
恒等射
各対象 には、必ず恒等射 が存在し、
が任意の射 , について成り立つ。
合成
射 , の合成 が定義される。 合成は「流れ」として直感的に捉えられる:
A ──f──▶ B ──g──▶ C
↓ g∘f
A ─────▶ C
結合法則(Associativity)
合成は常に結合的である:
(, , )
-- Haskellの関数合成は結合的
h . (g . f) == (h . g) . f
射の世界の直感
圏論では、対象そのものよりも「射のネットワーク」が主役となる。射の合成・恒等性・結合律こそが、圏の構造を支配する。
射の世界に生きるとは、あらゆる構造を「変換の連鎖」として捉え、流れ・合成・恒等性の規則に従って思考することである。
~Yu Tokunaga